みなさん、支笏湖と呼ばれる美しい湖をご存知ですか?
北海道にある湖で、自然を満喫できる場所です。観光地として非常に有名で、年に100万人前後の観光客が訪れます。
そんな人気の観光地である支笏湖ですが、実はちょっと怖い噂があるのです。
今回は、そんな観光地であると同時に心霊スポットであるちょっと珍しい特性の支笏湖の都市伝説について見ていきます。
読み終える頃には、支笏湖に行ってみたいと思っていただけるような記事に仕上げました!
そもそも支笏湖ってどんな湖?
支笏湖は、透明度が非常に高く、11年連続日本一に評価されたこともあるほどの高い水質を誇ります。
そして札幌から車で1時間ほどと、北海道の自然湖の中でも屈指のアクセスの良さから、毎年数多くの人々が訪れます。
その最大の特徴とも言えるのが、日本最北の不凍湖であること。
湖の深部に温かい水が残存しており、それが水面を温めることで凍るのを防いでいるのだそう
実際どの程度の温度かというと、水面の温度は、夏に最高20℃程度まで上がり、冬でも最低2℃ほどは保たれます。
支笏湖の周辺も、魅力あふれる観光スポットがあります。
- 周辺一帯は、さまざまな野生動物が生息しており、支笏洞爺国立公園に指定
- 支笏湖に流れ込むモンルウン美笛川には50mの落差が圧巻の観光名所『美笛の滝』
- アカゲラやシジュウカラなど野鳥の姿を観察できる『野鳥の森』
- 周辺の自然や生き物の生態を映像やジオラマでわかりやすく紹介してくれる施設『支笏湖ビジターセンター』
- カヌー、登山、乗馬、サイクリングなど様々なアクティビティを楽しむことができる
- 名物のヒメマス料理が絶品
支笏湖の都市伝説
ここからが本題なわけですが、支笏湖にはこんな怖い噂があります。
- 支笏湖は死骨湖である
- 遺体がなかなか浮いてこない
- 支笏湖を観光後、レストランで店員が水を一人分多く置いていった
- 湖の中から栗色の毛に覆われ大きな耳を持つ、3mはあろうかという怪獣が長い首を突き出していた
支笏湖は自殺スポットとしても有名らしく、それが都市伝説に拍車をかけています。
続いて、それぞれの都市伝説について詳しくみていきましょう。
都市伝説1:支笏湖は死骨湖である
支笏湖はよく怖い場所だという認識があります。自殺スポットとしても有名で、『遺体がなかなか浮いてこない』という都市伝説とかけて、『死体の骨が沈む湖:死骨湖』と呼ばれるようになりました。
そもそもですが、支笏湖の名前の由来は、アイヌ語で大きな窪地を意味する「シ・コッ」と言われています[2]。支笏湖の起源が、カルデラであることに由来した名前ですね。
元々は支笏湖エリアを含む周辺一帯が「志古津」という地名であったのですが、1805年に「シコツ」という読みが「死骨」を連想し縁起が悪いため、現在の千歳という縁起のいい名前に改名しました[5]。
つまり、「支笏湖は死骨湖である」というのは、名前から連想されるイメージが元で、有名な自殺スポットという実態と合わさって、そのように言われるようになったというのです。
都市伝説2:支笏湖に沈んだ遺体は中々浮いてこない
支笏湖の都市伝説として広く囁かれているもの2つ目が、「遺体が中々浮いてこない」というものです。その理由は……
水中の藻類が絡みつくため
というのが定説とされています。
しかし、ここで私は思いました。藻類が絡みつくのは、支笏湖だけの問題ではないのではないか? と。湖であれば、大小多寡の差はあれど、藻類は生えているはずです。ならば、湖沼での水浴死体すべてに当てはまる理由なのではないでしょうか。
そこで、支笏湖の特性を踏まえて別の仮説を考えてみました。それが、
水温の低さと湖の深さのために浮上するのに必要なガスがたまらない説
そもそも、水浴死体が浮いてくる理由とは、腐敗により発生したガスが溜まることで浮力となるためです。腐敗は低温条件下では緩徐になります。
これに加えて、深いところに沈んでしまうと、水圧の関係でガスの体積が小さくなります。浮力は体積の大きさに比例して加わるため、深い場所に沈むと十分な浮力を得られにくくなるのです。
こちらの表をご覧ください。大学の資料からお借りしたもので、水温と浮上にかかる日数をまとめたものです。
水温 | 浮上にかかる期間 |
25℃ | 2日 |
20℃ | 4日 |
15℃ | 1週間 |
10℃ | 2週間 |
5℃ | 4週間 |
これを見ると、水温が低くなればなるほど、遺体が浮上するのに時間がかかるようになっていることが分かります。水温が5度下がるごとに、時間が倍々に増えていっているのがわかるでしょうか。
これと、支笏湖の深度100mから360m付近の水温は4℃から3℃程度に保たれる[1]、ということを踏まえると、支笏湖に沈んだ遺体は1ヶ月半程度は浮上してこないと概算できます。
さらにこちらの表をご覧ください。こちらは、深度と水圧、ガスの体積の関係を表した表です。
深度 | 圧力 | ガスの体積 |
0m | 1気圧 | 1 |
10m | 2気圧 | 1/2 |
20m | 3気圧 | 1/3 |
30m | 4気圧 | 1/4 |
10m深くなるごとに、圧力が2倍, 3倍と大きくなっていることが分かります。一方で、ガスの体積は、1/2, 1/3と小さくなっていきます。
浮力はガスの体積に比例するため、水深30mにある死体は、浮上するのに水深10mにある死体の3倍のガスが必要になるということです。
ここで、支笏湖の条件を改めて整理してみると、日本の最北端にある不凍湖であり、水深は秋田県の田沢湖に次いで日本2位の深さです。水深100mから下は年中を通して3から4℃に保たれています。
水温が3から4℃ということで、その時点で約1ヶ月浮上までに時間を要します。さらに深さが100mともなると、かかる圧力は地上の11倍なので、約1年は浮上してこないと見積もることが可能です。
しかも、この見積もりも、体内にガスが溜まり、抜けないことが前提となっています。深度が深いことにより、通常よりも進行した腐敗が要求されるため、途中でガスが抜けてしまうことも考えられます。こうなると、もはや浮上してくることは叶いません。
ということで、支笏湖に沈んだ遺体は、浮いてこないというのは本当だろうと考えられます。
都市伝説3:支笏湖を観光後、レストランで店員が一人分多く水を置いた
……単純に考えれば、お店側のミス、ですよね。
スタッフもお店の構造も全く同じで、立地が違うだけの場所を二箇所確保して、どのくらい一人分多く水を置くミスが発生するのかというのを統計的に比較してみたくなります。
有意差がなければヒューマンエラーとして片付けて良さそうですし、有意差があれば別の外的要因があると考えられるので、それが霊の仕業であるのかもしれません。
霊と思わしきものを目撃したという体験談もいくつか報告されているので、端から幽霊なんているわけないという立場に立つことも出来ないのかなと思います。
都市伝説4:支笏湖の巨大怪獣
元々水中は、浮力によって体が支えられるため、地上と比べて体が大きいことによる負担が小さいという特徴があります。
そのため、栄養状態などの環境にも因るのですが、通常の2倍程度まで大きく成長することもあるほどなのです。
実際、1990年の9月27日には、10mのアナコンダが人を飲み込むという事件がブラジルで起きています。
寿命の問題や繁殖の問題など、様々な問題はあるのですが、水中というだけでネス湖のネッシーに代表されるように巨大生物が生活するポテンシャルはあるんじゃなかろうかと思います。
参考文献
- 千歳市. “令和元年度通年(平成 31 年4月~令和2年3月)千歳市の観光入込状況について”. ちとせの観光 . https://www.welcome-to-chitose.jp/wp-content/uploads/2020/05/ca43df8aabee02a0df2d3a80e4ddbde3.pdf, (参照 2022-07-20)
- 千歳市 . “支笏湖” . ちとせの観光 . https://www.welcome-to-chitose.jp/attractive/shikotsu.html, (参照 2022-07-20)
- 不明 . “支笏湖” . Wikipedia . https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%AF%E7%AC%8F%E6%B9%96, (参照 2022-07-20)
- 徳井利信 . “支坊湖の物理的ならびに 化学的性質 ” . 北海道さけ・ますふ化場研究報告 . http://salmon.fra.affrc.go.jp/kankobutu/srhsh/data/srhsh191.pdf, (参照 2022-07-20)
- 北海道ファンマガジン編集部 . “支笏湖は死骨湖だった?名前の由来に迫る” . 北海道ファンマガジン . https://hokkaidofan.com/shikotsuko/, (参照 2022-07-20)
- 不明 . “支笏湖” . 奇々怪々怖い話投稿 . https://kikikaikai.fan/tags/shikotsuko, (参照 2022-07-20)
- 株式会社ZAWA.com . “支笏湖?それとも死骨湖?惹きつけられる不思議な湖” . 北海道そらマガジン . https://soramaga.com/shikotuko-2/, (参照 2022-07-20)
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