『アガリビト』と呼ばれる存在をご存知ですか?
この都市伝説は、2010年頃に2chのスレッド「洒落怖」で知られるようになり、今でも多くの人々に愛されています。
本記事では、『アガリビト』の基本的な情報を網羅的にまとめました。また、別の記事では、より深くアガリビトについて考察しています。
「アガリビトってなに?」という方はまず本記事を読んでから、考察記事を読むとより楽しめると思います。
それでは、不思議で魅力的な「アガリビト」の世界へとご案内いたします。
はじめに:情報源や独自の呼称について
本記事では、主に2chを情報源としています。その補足として、他サイトや書籍から得た情報も加えています。
また、アガリビトに遭遇した体験談を最初に書き込んだ人物を「イッチ」と記述しています。通常「イッチ」とは、スレッドを立てた人物の故障ですが、本記事では便宜上このように記述しています。
【都市伝説】アガリビトとは何か?-人間が自然に帰り、野生化した存在-
いきなりですが、アガリビトが何かご存知ですか?
「人間が自然に帰り、野生化した存在」
それをアガリビトと言います。
一般的な野生動物と異なり、「人間の知性」と「自然の力」を併せ持っています。そのため、人間より1ランク上の存在だとされます。
イッチによると、この話は九州地方に伝わるものであり、イッチのおばあちゃんが情報源です。イッチのおばあちゃんは古賀という姓で、その地域は古賀さんがやけに多かったとも述べています。
苗字由来netさんで、古賀という姓がどこに多いのかを調べました。結果、確かに九州地方に多いことが分かりました。
特に、長崎・佐賀・福岡の九州北部に多く見られるようです。
アガリビトで調べると、関連ワードとして福岡県がサジェストされます。これは、福岡県に古賀市があるためと考えられます。
ところが、イッチの記述を見返すと、古賀さんが多い地域というだけで、地名が古賀とは書かれていませんでした。また、苗字由来netさんで調べると、福岡県古賀市に古賀さんが特別多いということはないようです。
そのため、アガリビトの話が福岡の伝承とは絞りきれず、長崎・佐賀・福岡辺りに伝わるものということになります。
アガリビトの外見と特徴
2chのスレッドには、アガリビトの特徴がいろんなところに散りばめられて記述されています。それをまとめると、このようになります。
- 若いようで、ガリガリの老人のようにも見える
- 髪は長く、常に全裸である
- 目が大きく、ギラギラとしている
- ASIMOのような歩き方をする
また、アガリビトの目は<●><●>と表現されています。
なお、ASIMOとは本田技研工業が開発した二足歩行ロボットであり、日本科学未来館で展示解説員として活躍していました(2022年引退済み)。
アガリビトに変異する条件
アガリビトは「人間が野生化したもの」でした。それでは、どうしたら人間がアガリビトへと変異してしまうのでしょうか。
次の2つの方法があることが判明しています。
- 一切の人工物(ゴミを含む)がない、100%の自然に触れること
- アガリビトに出会うこと
ただし、山奥に住む完全なアガリビトでなければ、遭遇してもアガリビトにはならないのだそうです。
イッチは子どもの頃、アガリビトに遭遇しています。しかし、麓に現れる半端なアガリビトだったため、「上がって」しまわずに済んだようです。
アガリビトの正体:祟り人説とサンカ説
2chでは、アガリビトの正体について活発に議論が交わされました。その中で、それっぽいと結論付けられたのが「祟り人」という存在でした。
他にも有力な説として挙げられていたのが「サンカ」でした。
ここでは、祟り人とサンカの詳細を確認していきます。読みながら、あなたもアガリビトの正体について考えてみてください。
アガリビトは祟り人説
祟り人(タタリビト)は、口減らしや気狂いとされて山に捨てられた人が山神様の加護で生き延びたもの。人を恨んでおり、人を襲おうとするが、山神様の加護があるため反撃しようとすれば祟られる、というもの。
※ 口減らし:経済上の理由から、養うべき人を減らすこと
祟り人の「祟」が「あがめる」とも読めるから、祟り人からアガリビトになったんじゃないかという説もあります。しかし、「祟る(たたる)」と「崇める(あがめる)」は異なる漢字なので、違うんじゃないかと思います。
そうは言っても、見た目が似ているので、勘違いでアガリビトになったという可能性はありえますね。
アガリビトはサンカの末裔?
サンカについて、Wikipediaにはこのように記載されています。
サンカは、日本にかつて存在したとされる放浪民の集団である。少数民族のように民族の区別があるのではなく、賤民になった多くの土着日本人が労役に耐えらず、山地に逃げて住んでいたのが起源であり、明治期に初めて山地に住んでいる貧困な日本人集団を警察がサンカと呼んでいた。本州の山地に住んでいたとされる。定義については後述のように激しく論争されてきた。呼称は日本の警察による便宜上のものであり、差別用語としても使われる。労役から逃れるため、本州の山に避難した日本人、または戦国時代に没落した日本人である。
サンカ – Wikipedia
要は、山間の非居住者です。
確かに、過去にはそのような生活形態の人が少数とは言えない数、存在していたことは間違いないようです。ただし、Wikipediaによると映画「瀬降り物語」(1985)の頃には、ほぼ消滅していたとの記述があります。
したがって、イッチがアガリビトに遭遇した2000年ごろには、サンカはほとんど居なくなっていると推測されます。
イッチのおばあちゃんが若い頃に出会ったアガリビトの話
イッチのおばあちゃんが、若い頃にアガリビトに遭遇した話が2chにあがっています。
「戦争も終わりかけの頃」という記述から、1945年ごろと推測されます。
おばあちゃんがアガリビトと遭遇するきっかけとなったのが、野菜を盗み山に逃げた子どもの捜索隊に参加したことでした。
おばあちゃんが女学生だった頃、村では食料不足に悩まされていました。
ある夜、疎開してきた数人の子供たちが畑の野菜を盗んで山に逃げ込んでしまい、捜索隊が結成されます。おばあちゃんも男性たちと一緒に森に入りますが、腹が減っていたおばあちゃんは自然薯を掘りに行くことにしました。
しかし、その途中で見たものは、全裸で目が虚ろな男女たちの集団でした。彼らは、村人たちとは異なり、幾分かふくよかであり、例の子供たちもいました。
子どもたちは、人型の黒い何かの前で服を脱がされ、どこかに連れ去られました。
人型の黒い何かは、ノートルダムのせむし男に例えられていました。
ノートルダムのせむし男(ノートルダム・ド・パリ)とは、パリのノートルダム大聖堂を舞台にしたヴィクトル・ユーゴーの小説らしいです。
こちらの小説の主人公カジモドが、そのせむし男です。
- 変形した骨格
- 皮膚の形成不全
- 大きく曲がった背中
- O脚
- 体のあちこちに出来た大きなイボ
といった特徴があったようです。
人型の黒い何かも、せむし男のように四肢や背筋が歪んでいたということなのでしょう。
ただし、人型の黒い何かについては不明です。目下、情報を集めているので、何か知っている方は教えてください。
まとめ:アガリビトはこんな怪異
- 常に裸で、山の中に住んでいる神のような存在
- 遭遇すると、アガリビトになる
- 九州のある地域に伝わっている(特に九州北部、佐賀県辺りが怪しい)
関連:山に出没するその他の怪異
以下は、当ブログで紹介した山に出没するその他の怪異です。アガリビト以外にも知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。
ヤマノケ
- 山に住む神のようなもの
- 女性に取り憑き狂わせる
巨頭オ
- 不自然なほど巨大な頭を持つ怪異
- 山奥にて巨頭オと書かれた看板を見つけると、その先で遭遇する
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