異世界エレベーターは、10階以上ある建物のエレベーターをある手順で操作すると起こる異常現象およびその現象を起こしているエレベーターの呼称です。
異世界エレベーター発見の経緯
2chのオカルトスレッドに「エレベーターで異世界に行く方法」とタイトルがつけられた書き込みで広く知られるようになりました。
書き込みによると、エレベーターで異世界に行く方法はこのようなものです。
インタビュー記録
「エレベーターで異世界に行く方法」を実践し、異世界に行った大学生から話を聞くことが出来ました。
以下は、彼女から聞くことの出来た体験談です。
私は、大学でサークルの部長をしていました。
サークル活動自体は大好きなのですが、不満がひとつだけありました。
それが、顧問がめちゃくちゃ嫌なやつということです。
顧問はとても自己中心的で、授業中も学生が間違った答えをしたり、分かりませんと返そうものなら馬鹿にするようなセリフを言います。
特に私は顧問と馬が合わず、つい先日も顧問と喧嘩をしたばかりでした。
そんなときです。ネット掲示板である情報を見つけました。
「エレベーターで、異世界に行く方法……?」
異世界はこの世界とほとんど同じで、名前や人間関係が変わるだけの平行世界と書かれていました。
(もしかして、その世界に行けば顧問との関係に疲れることもない?)
私はわらにもすがる思いでやってみることにしました。
場所は、ちょうど住んでいるマンションが14階建てだったのでそのエレベーターを使用することにしました。
実行した時間は、人が来ないように深夜です。途中で人が乗ってきたら失敗すると書かれていましたし、同級生にこの姿を見られるのはなんだか恥ずかしかったからです。
「確か、エレベーターに乗ったらまずは4階を押すんだったよね。」
当然ですが、何事もなく4階へ移動しました。続いて2階のボタンを押し、着いたことを確認してから6階、10階のボタンを押しました。
「次に5階を押したら女性が乗ってくるんだったよね。」
5階のボタンを押し、エレベーターが下っていきます。自分でやっていることでありながら、緊張で背筋に嫌な汗をかいているのを感じました。
エレベーターが止まり、「ピン」という音がなって扉が開きます。隙間から人影が見えた瞬間、思わず息を吸い込み吐き出すのを忘れてしまいました。
確かに女性が乗ってきたのです。
女性の顔は確認できませんでした。帽子を被っているわけでもないにも関わらず、その顔は深い影が落ちたように真っ暗で見ることが出来ませんでした。
エレベーターの扉が閉まりしばらくしてから、エレベーターが動いていないことでボタンを押し忘れていたことに気づき、急いで1階のボタンを押しました。
1階のボタンを押すと、エレベーターは上にのぼっていきました。中の階数表示も、6、7、8とどんどん上階へと移動していることを示しています。
9、10、11……
ネットの情報では10階に向かうと書いてあったのですが、10階を過ぎても止まる気配がありません。
12、13、14……
15。エレベーターは15階で停止しました。
扉が開くと、1階の景色が広がっていました。
大学生
以上が私の体験した話です
インタビュアー
これで終了ですか……? もっとこう、異世界の様子とか異世界からどうやって戻ってきたのかという話はないのでしょうか。
大学生
ああ、なるほど。
(数秒間の沈黙)
異世界の様子は、あなたもよくご存知ですよ。あと、帰り方は分かりません。
インタビュアー
そういえば、異世界は名前や人間関係が違うだけの平行世界とおっしゃっていましたね。そういう意味では、確かに私もよく知っていると言えそうです。
ところで、帰り方はわからないとはどういうことですか? 今あなたは私の目の前にいると思うのですが……
大学生は、インタビュアーの最後の質問には答えず、ただ微笑んでいるだけでした。
後の調査で、インタビューをした大学生は現在サークルの部長はしておらず、顧問との関係も良好であることが分かりました。
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