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名作洒落怖「ヒッチハイク」あらすじ・解説

この記事は約9分で読めます。
しろ
しろ

ゆきちゃんは、ヒッチハイクをしたことはある?

ゆき
ゆき

ありません。興味はあるんですけど、変な人の車に乗っちゃったらと思うと、怖くて

しろ
しろ

そうだね、今回は正にそのような体験をした話だよ。


本記事は、名作洒落怖である「ヒッチハイク」の解説です! 本来なら原稿用紙 約70枚分もの文字数があるところを、今回は要点を絞って解説することで約1/4に圧縮してお届けします。

  • 『ヒッチハイク』の概要を知りたい人
  • サクッと復習をしたい人

こういった方にオススメの記事に仕上がりました! ご活用いただければ、私も非常に嬉しいです。

それでは、不気味な「ヒッチハイク」の話をお楽しみください。

原文ママを読みたい方はコチラ!

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ヒッチハイク 短縮版

話は友人のカズヤと北海道から九州まで、ヒッチハイクで日本縦断の旅をすることになったところから始まります。

最初こそ慣れないヒッチハイクに悪戦苦闘。それでも、さまざまな人・土地との出会いを楽しみながら南下し、4日目には本州に到達した2人。

ところが旅を始めてから2週間後、甲信地方の山深いところで恐怖の体験をすることになったのです。

その日の夜は、国道沿いのコンビニで降ろしてもらってから2時間経っても次の車が見つからず、蒸し暑さでグロッキーになっていました。

あれこれ言っても現状は改善しないので、2人は、ヒッチハイク役と休憩を30分交代ですることにします。何度か交代を繰り返し、深夜1時30分を過ぎたころのことです。1台のキャンピングカーがコンビニに停車しました。

中から出てきたのは、スーツ姿にテンガロンハットを被った60代くらいの男性。

テンガロンハットのイメージ

写真:テンガロンハットのイメージ

※ 日本で一般的に「テンガロンハット」と呼ばれる帽子は、実際にはテンガロンハットとは異なる種類の帽子を指すことが多いです。

そんな男性の様子を、主人公は表現しがたい気味悪さを感じながら眺めます。男性がコンビニから出てしばらくすると……

『おい、乗せてってくれるってよ!』

そう叫ぶ和也の声が真夜中のコンビニに響きました。

そんなこんなで、キャンピングカーに乗せてもらうことになった主人公とカズヤ。ここで、乗せてくれた男性と、3人の同乗者について紹介しておきましょう。

まず、スーツ姿にテンガロンハットの男性。先ほど、コンビニで買い物をしていた方ですね。見た目60代ほどで運転手です。名前はセントジョージと言うそうです。

次に、助手席に座っているのは、70歳ほどの女性。ドライバーの妻と思われます。ウェディングドレスのような真っ白なサマーワンピースを着ており、顔のメイクは、バカ殿を彷彿とさせるほど真っ白に塗られています。名前はセントジョセフィーヌと言うそうです。

最後に、40歳過ぎの双子の息子。服装、髪型、顔、動作と、あらゆる要素が全く同じ双子です。赤ら顔をしている方が、顔に青あざがある方がと言うそうです。

ドライバーの父と、助手席の母がひっきりなしに話しかけてくる一方で、双子は一切喋ることなく全く同じペースでコーラをラッパ飲みしています。さらには、全く同じタイミングでゲップ。

その異様な雰囲気に、2人は一刻も早く降ろして貰おうと計画します。が、父と母の必死な引き止めに降りることが出来ず、ずるずると乗り続けることになってしまいます。

ちなみに、この時の引き止める口実がまたおかしく

  • 熊が出るから!今日と明日は!
  • せめて晩餐を食べていけ
  • 晩餐の用意が出来ているから

というものでした。しかし、時刻はすでに2時に迫っており、晩餐には遅すぎる時間で、2人はさらに不審感を募らせます。

キャンピングカーは山道を30分ほど走り、小川がある開けた場所に停車しました。そのときです。

——キャッキャッ

キャンピングカー後部の扉から、子供の笑い声のようなものが聞こえました。

一家の会話から、子供の名前はマモルと判明しました。日本人らしい名前に、2人もやや安堵したことでしょう。

車の外に出ると、2mはあろうかという大男が焚き火をしていました。こちらも、ドライバーの男性と同じくスーツ姿にテンガロンハットを被っています。2人は、まだ仲間がいたのかと戦慄し、ここで逃げることを決意しました。

カズヤの「しょんべんに行ってきます」という合図に合わせて、主人公も立ち上がり、ゆっくりと逃走を開始。そのとき、キャンピングカー後部の窓に、異様におでこが突出し、両目の位置が異様に低く、両手もパンパンに膨れ上がった容姿をしたモノが、バン!と顔と両手を貼りつけ叫びました。

——マーマ!!

それが何かの合図だったのか、後方で叫ぶ声が聞こえましたが、2人は小さなペンライトを片手にがむしゃらに走り続けました。

途中、大男が口ずさんでいたミッキーマウスのマーチが聞こえたため、休めていた体に鞭を打って猛ダッシュ。やや辺りが明るくなってきた頃、今は使われていない駐車場のようなところに出ました。

長い間走りつづけて緊張の糸が緩んできたのか、トイレへと駆け込むカズヤ。大男が追いついてきたらと気が気でありませんでしたが、周囲の監視をしつつカズヤを待っていると

「なあ、誰かが泣いてるよな!?」

大声で叫ぶカズヤの声が聞こえました。

隣の女子トイレから泣き声がするのだといいます。耳を澄ませてみると、確かに女の子が泣いているような声が聞こえます。しかも、その声は徐々に激しくなっているようです。

「何があったのかは分からないけど、こんな山奥で泣いているんだ。ただ事ではないはず」そう考えた主人公は、泣き声のする個室に向かって声をかけました。

「すみません……どうかしましたか?」

しかし返事はありません。続けて、体調が悪いのかと尋ねるも、やはり返事はありませんでした。

——ブルルン

そのとき、駐車場の上に続く道から、車の音がしました。

急いでカズヤをトイレから出し、駐車場の方を見ると、ちょうど例のキャンピングカーが入ってくるところでした。

今逃げ出せば、確実に見つかります。残された手段は、死角になっているトイレの裏に隠れることしかありませんでした。

トイレの裏に隠れてから3時間後、2人は最初のコンビニに戻ってきていました。必死に隠れていると、例の一家がトイレから離れていったのです。その後、トラックの運転手さんにお願いして、コンビニまで乗せていってもらったのでした。

店長さんに事情を話すと

「え? キャンピングカー? いや、俺はさぁ、君達があの時、急に店を出て国道沿いを歩いて行くので、止めたんだよ。

俺に気を使って、送ってもらうのが悪いので、歩いていったのかな、と。

10mくらい追って行って、こっちが話しかけても、君らがあんまり無視するもんだから、こっちも正直、気ィ悪くしちゃってさ。

どうしたのさ?(笑)」

とのこと。どういうことだろうか?

トイレでカズヤとどう思う? と話していたところ、ミッキーマウスのマーチが聞こえたため、個室に殴り込むと地元の高校生でした。

高校生に詫びをいれつつ、コンビニまで連れてきてくれたドライバーさんにタバコを奢り、市街まで乗せていってもらうことにしました。

あまりの体験に寝ようにも寝られず、窓の外を眺めながら、あの出来事を思い出していたところ、窓の外に異様に朽ち果てた例のキャンピングカーを見つけたのです。

「すみません! 止めてください!」

そういって駆け寄ると、確かにあのキャンピングカーでした。

しかし、窓ガラスは全て割れ、タイヤも全てパンクしています。何十年も経ったかのようにボロボロでした。中を覗いてみると、あのときキャンピングカーの中に置き去りになったリュックが入っています。

「オイオイオイオイ、リュック!! 俺らのリュックじゃねぇか!!」

リュックも車台と同様ボロボロに朽ち果てていました。

車の外に出ようとしたとき、ガタッとキャンピングカーの後部から物音がしました。

マーマ!!

そんな声が聞こえた気がした2人は驚き、叫びながらトラックに駆け戻りました。なぜかドライバーも青ざめています。聞けば、カウボーイハットを被った人影が見えたのだと。

耳元で、口笛のようなものも聞こえたと言っており、再現してもらうと、あのミッキーマウスのマーチでした。

ヒッチハイクの謎

さて、ここまでヒッチハイクの概要を見てきた訳ですが、疑問点を提示していきましょう。

  • 例の一家は何者だったのか?
  • コンビニの店長がキャンピングカーを覚えていないのはなぜか?
  • マモルとは一体何者だったのか?
  • 例の一家と、ミッキーマウスのマーチを歌っていた大男の関係は?
  • 駐車場のトイレで泣いていた女性はなんだったのか?
  • なぜ、キャンピングカーは朽ち果て状態で見つかったのか?
  • そもそも、なぜキャンピングカーは見つかったのか?
  • 主人公たちのリュックまで朽ち果てていたのはなぜか?

このうち、『駐車場のトイレで泣いてい女性』の正体については、本記事では省略した部分に答えのようなものが書かれていました。

それが、こちら。場面は朽ち果てたキャンピングカーを見つけたあと、再び市街に向かって出発した車内です。

そして市街も近くなったと言う事で、最後にどうしても聞いておきたい事を、俺はドライバーに聞いてみた。

「あの、最初に乗せてもらった国道の近くに、山ありますよね?」
「あぁ、それが?」
「あそこで前に、何か事件とかあったりしました?」
「事件…?いやぁ聞かねぇなぁ…山つっても、3つくらい連なってるからなぁ、あの辺は。あ~でも、あの辺の山で大分昔に、若い女が殺された事件があったとか…それくらいかぁ?あとは、普通にイノシシの被害だな。怖いぜ、野生のイノシシは」
「女が殺されたところって」
「トイレすか?」
カズヤが俺の言葉に食い気味に入ってきた。
「あぁ、確かそう。何で知ってる?」
市街まで送ってもらった運転手に礼を言い、安心感からか、その日はホテルで爆睡した。

このように、トイレで泣いていた女性は、昔トイレで殺された若い女性の霊であることを示唆する記述があります。


この女性は、例のキャンピングカーに乗った人たちに殺されてしまったのでしょうか。

そして、主人公たちはその女性と同じことを追体験していたのでしょうか。

もしかすると、追体験なんて甘いものではなく、実際にタイムリープしていたのかもしれません。

そう考えると、

  • コンビニの店長が認識出来なかったのは、キャンピングカーと例の一家は別の次元に存在するものだったから。
  • キャンピングカーが朽ち果てていたのは、キャンピングカーが乗り捨てられたのが大昔だったから。
  • 主人公たちのリュックも朽ち果てていたのは、実際にその時代に居たから。

と、ヒッチハイクの謎をある程度説明できるかなと思います。

みなさんは、どのように考えますか? ぜひみなさんの考察を、コメント欄で私に教えてください。

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