先輩、呪われた人形の話が知りたいです
それなら、渦人形がおすすめだよ。
渦人形とは
渦人形は、冒険の山奥にある合宿上裏の空き家で発見された人形です。
おかっぱ頭の人形で、ニヤニヤと不気味な笑みを浮かべています。また、人形らしい真っ白な肌と、人型では中々ない長い首を持ちます。
目や口は空洞となっており、「ホホホ・・・ホホホ・・・ホホホ・・・」と抑揚のない笑い声をあげます。
胴体には、「寛保二年」と作者の文字、そして「渦人形」という単語が書かれています。
作者の名前については、燃えてしまって6文字であること以外は分かりません。
渦人形発見時の状況
部活の合宿に来ていた高校生たち5人が合宿所裏の空き家から見えた人影に興味をひかれ、探索をしてみようということになった。
空き家の1階を探索していると、ひとりが「2階から笑い声がする」と言いはじめる。
どうしても2階が気になるようなので、探索チームを2つに分けて1階と2階を同時に探索することにした。
しばらく探索していると、2階から「アハハハハハハハハハハ」という場違いに明るい笑い声が聞こえてきた。
大慌てで2階に行くと、まだ「アハハハハハハハハハハ」と大声で笑っていた。
おかしそうに笑っているにも関わらず、顔は無表情で涙を流している。
急いでそいつを連れて合宿所に戻ろうとするのだが、さっきまで簡単に開いたドアが開かなくなっていた。
軽くパニックになり顔を見合わせていると、「ホホホ……ホホホ……ホホホ……」と抑揚のない機械的な声が聞こえてきた。
声の主は、外から見えた人影と同じような特徴の子供だった。
高校生たちは、窓を割り空き家から脱出した。
なんとか空き家から脱出できたみたいで良かったです……
残念だけど、渦人形からはまだ逃げられてないんだ。
まだまだ続く渦人形の呪い
ひたすら笑い続けていたやつは救急車で運ばれて行き、合宿は中止になった。
そいつは4日ほどすると、何事もなかったように帰ってきた。あとで話を聞いてみると、家に入ってからの記憶が何もないらしい。
その日の夜、自分の部屋で寝転がっていると「ホホホ……ホホホ……ホホホ……」という声が聞こえた気がした。
気のせいだろうと思い、1階に飲み物を取りに行き部屋に戻ってくると、カーテンの隙間から和服を着た子供が正座しているのが見えた。
しかし、その子供の首は長く伸びていて、頭は部屋の窓を覗き込んでいた。あの声も、窓越しに聞こえてくる。
恐ろしくなって、その日は1階のリビングで徹夜した。朝になって部屋の様子を見に戻ると、あの子供は居なくなっていた。
あの空き家から離れて、語り手の家までついてきたんですか……!?
「ひょうせ」が今事件の犯人……?
地元のおじさんから、彼らが出会ったのは「ひょうせ」ではないかと説明された。
ひょうせは、土着の妖怪のようなもので、まれに妊婦や不妊の家に現れて笑い声をあげる。ひょうせが現れた家では、妊婦は安産し、不妊の夫婦には子供が生まれるという伝承がある。
ただ、数十年に一度、子供を憑き殺してしまうとも言い伝えられている。
普段なら、ひょうせが現れた家に結界を作り、簡易的な祠を作ってまつればそれで終わるはずらしい。
−−それが今回は、なぜか地元を離れて再び襲っていることだけが不可解と言うが……。
渦人形のラスト
渦人形に呪われた高校生たちは、お祓いをするべく地元のお寺の本堂に連れてこられていた。
お経を読んでいる間、ずっとあの「ホホホ……ホホホ……ホホホ……」という声が天井で響いていた。
しばらくすると、今度は庭から声が聞こえてきた。
語り手の男性は、その人形への怒りが恐怖心を上回り、燭台を手にして人形に振り下ろした。
バキッ!
男性は、「アハハハハハハハハハハ」と笑い声をあげつつも、無表情で涙を流しながら燭台を人形に打ち付け続けた。
メキッ!
鈍い音が響くと、男性は急に力が抜けた様子でその場に座り込んだ。
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