
先輩、こんにちは。今日はどんな話を教えてくれるんですか?

今日は「かんひも」を紹介するよ。

かんひも……? 名前からは全然どんな話か想像できませんね。早速教えてください!
かんひもの基本情報

タイトル | かんひも |
ジャンル | 田舎 |
文字数 | 約3600文字 |
舞台 | 長野県 |
「かんひも」のあらすじ

「かんひも」はどんな話なんですか?

かんひものあらすじを紹介するね。
小学生の夏、母親の実家を訪れた投稿者。そこで同じくらいの年齢の男の子(以降Kと表記)と仲良くなり、今まで入ったことのない山に探検に行った。
その山で見つけたのは、立った状態で絡み合い苦悶の表情を浮かべている4体の道祖神。
気味の悪さに立ち去ろうとしますが、Kは石碑の足元にある木の箱を見つけ掘り出し、入っていた腕輪をはめてしまう。
その日の夜、Kの父親から電話があり、急遽Kの家に祖父母とともに向かうことになる。
Kの家に入ると、最初に気づくのは埃っぽいような酸っぱいような異臭。家の奥からは、家族の必死な声が聞こえてくる。
奥に入ると、Kが横たわっており、目は開いていたが焦点が定まらず、口は半開きで泡で白っぽいよだれを垂らしていた。
Kの右腕は、腕輪から伸びる紐が刺さっており、そこから先が黒くなっている。
Kは駆けつけたお寺のお坊さんたちに寝室へ移され、一晩中お経を読んでいた。
Kは一命をとりとめたものの、寝たきりになってしまった。
道祖神は、外からやって来る疫病や悪霊を防ぐ神のこと。
この話の中に、「道祖神といえば普通、男女2人が仲良く寄り添って彫ってあるものではないか」といった記述があったのですが、私にはそのようなイメージはありませんでした。
不思議に思いWikipediaを調べてみると、長野県安曇野市では男女二神が手を取り合う双体像が多く見られるとの記述がありました。
投稿者の母親が長野県出身ということで、投稿者は道祖神といえば双体像のイメージが強いのだろうと思います。
かんひもとは

あの腕輪って何だったんですか?

あの腕輪こそが、タイトルにもなってるかんひもだよ。

どういった物なんですか?

それじゃあ、呪いのアイテム「かんひも」についての解説に移ろう
かんひもの効果
凶女(後述)がもたらす災いを他の村に被らせる。
凶女と凶子とは
集落の話では良くある近親婚によって、血が濃くなり、障がいを持つ子どもが生まれることが度々あったのだそう。
そのような子たちを凶子と呼び、凶子を産んだ女性を凶女と呼ぶらしいです。
凶女と凶子は、共に災いを呼ぶと考えられており、判明次第殺されていたようです。
しかし、凶女は死んだ後も災いを呼ぶらしく、それを他の村に押し付けるために作られたのが髪被喪の発祥とのことです。
かんひもの作り方
詳細な作り方は、話中に書かれておらず、他のブログなども探しましたが特に言及しているものは見つかりませんでした。
ただし、材料だけは判明しており
- 凶女の髪の束
- 凶子の骨で作った珠
を使用するそうです。
形状については、この話では腕輪だったというだけで、首輪など他の形もあるようですよ。
かんひもの話を読みたい方へ

こちらのサイトが後日談まで書かれているのでおすすめです。
かんひも考察編
ここからは、かんひもに関する考察を書いていきます。先にかんひもの話を読んでおくと、より楽しめると思うので、まだ読んでない方は先に読むことをおすすめします。
かんひもを嵌めた腕が黒くなっていた理由は?
かんひもを嵌めたKの右腕は、腕輪から先が黒くなっていたという記述があります。
この原因についてですが、思いついたのは次の4つです。
- 腕の中に入り込んだ髪が透けて黒くみえた
- 血液が滞り固まって黒くみえた
- メラニンが大量に生産された
- 呪いの力
自分で言っておいてなんですが、正直3はない気がします。「人体・黒い」から連想しただけですので……
1や2は割とありそうな理由ですね。あるいは、複合っていうのもありそうです。
血が滞った理由は、腕輪によって締め付けられていたとか、髪が血管を詰まらせたとかでしょう。
血液には、血管内皮以外と触れると固まるという性質があるので(正確には、血管内皮は血液と触れても血液を凝固させない性質があると言うべきでしょう)、髪と触れたことによって凝固したと十分に考えられます。
「血が濃くなる」と障がいを持つ子が多くなる?

ところで「血が濃くなると~」ってやつ良く聞きますけど、本当なんですか?
そのような論文を調べたわけではないので、断言することは出来ないのですが、近親婚により障がいを持つ子が生まれやすくなるのは、ありうる話だろうと思います。
ただ、「血が濃くなる」と障がいを持つ子が増えるかと言われると、正直微妙な気がします。
生物学的に考えると、近親婚を繰り返すことにより、遺伝子の多様性を獲得できなくなるという弱みはりますが、それ自体が障がいを引き起こす原因とは考えにくいのです。
では、あり得るとしたのは何故かと言うと、一度遺伝性疾患が発生したときに、近親婚が盛んな地域では、遺伝性疾患の原因となる遺伝子を持つ人が多くなるためです。
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